2024年9月20日 | コラム
地球温暖化が進み、ここ数年は、まさに異常気象という感じですよね。9月2日に気象庁から発表された今年の夏の全国の平均気温は平年より1.76度高く、過去最高だった昨年とならんで最も暑かったとのことです。本当に暑くて炎天下のもとでの工事は、危険を感じるレベルでした。
異常気象というと、最近はやはりゲリラ豪雨ですね。昔はこんな大雨の降り方はしていなかったと思います。あと、台風も日本付近の北西太平洋の海面水温が高くなっていることで、勢力が強くなっているというニュースもありました。
こうした強力な台風やゲリラ豪雨は、住宅に深刻な影響を与えます。特に、築古の戸建て住宅は、屋根の劣化が進んでいることが多く、雨漏りなどのトラブルが発生しやすい状態です。雨漏りに気付かず放置してしまうと、天井がシミなどで汚くなるだけでなく、カビが生えて健康被害を引き起こしたり、建物の強度を低下させて家の寿命を縮めてしまうことがあるなど、様々な問題を引き起こす可能性があります。
そう言えば家の屋根は大丈夫かな・・・と少しでも不安がある方は、是非、最後まで読んでください。この記事を読むことで、住宅の雨漏り被害にあう方が減れば嬉しいです!
屋根は結構複雑な構造をしています。屋根材があって、その下には防水シートがあり、その下には野地板や棟木、垂木といった木材があります。築年数が古い住宅が屋根の劣化により雨漏りする場合、屋根材だけでなく、防水シートなど他の屋根を構成する材料も原因となります。
屋根材と言うのは、瓦が一番イメージしやすいと思います。瓦も和瓦とセメント瓦があり、他にもストレート、アスファルトシングル、ガルバリウム鋼板など、いろんな種類の屋根材があります。屋根材は紫外線や風雨にさらされ続けているため、経年劣化が進んでいきます。スレート屋根であればチョーク化や割れ、コケの発生、瓦屋根であればズレやひび割れ、反り、金属屋根であれば腐食や錆、塗装の剥がれなどが発生しやすくなります。
屋根材が経年劣化し、ひび割れや変形、剥がれが生じると、防水シートの負荷が増大し経年劣化が進んでいきます。防水シートのひび割れや基材からの剥がれにより建物内部に雨水が侵入したり、素材自体の劣化による防水機能の低下により雨水をはじく力が弱くなります。
防水シートの経年劣化により侵入した雨水や湿気により、屋根を支えている棟木や垂木、野地板などの木材が腐食する可能性があります。木材が腐食すると、屋根の強度が低下し、屋根材がずれたり、破損することがあります。また、雨漏りが起こり、建物の構造を損なう可能性もあります。
過去の台風による強風や竜巻、地震などの自然災害で瓦がズレたり、屋根材が剥がれてしまっている可能性があります。築古住宅で定期的な点検や適切なメンテナンスをしていない場合、今までは雨漏りをしていなくても、次の台風やゲリラ豪雨などの大雨で雨漏りにつながる原因になってしまう可能性があります。
このように築古の物件の屋根は危険な状態になっている可能性があります。屋根の状態が心配な場合は、屋根の点検をすることをおススメします。屋根の点検は、専門業者に依頼するのが安全で確実ですが、自分でできる範囲の点検もあります。
屋根材のズレ、ひび割れ、浮き、錆など、屋根材の種類ごとに異なる劣化のパターンを踏まえて確認をします。また、雨樋の詰まり、破損、歪みなどによる排水機能に問題がないか、屋根と外壁の接合部の隙間、コーキングの劣化で雨水が侵入しないかなどを確認します。
他にも、屋根裏の断熱材に湿気やカビ、シロアリの被害がないか、木材に腐朽やシロアリの被害がないかなどを確認したり、家の中で天井のシミや壁の湿気など雨漏りの痕跡がないかを確認することもあります。
業者は屋根の構造、材料、劣化のパターンなど専門的な知識をもっているので、一般の人では見つけるのが難しい、小さなひび割れや腐食、構造的な問題などを見つけることができます。
点検方法は、屋根の形状(複雑、急勾配など)や屋根材の種類によっても変わることがありますが、屋根に登って目視で確認したり、ドローンで空撮して確認するといった方法があります。
室内でできる点検として、天井にシミ、変色、剥がれ、浮きなど雨漏りの跡がないか確認します。また、壁にカビや結露がないか確認します。もし屋根裏がある場合は、木材の腐朽、シロアリの痕跡がないか確認します。
また、屋外の地上でできる点検は、肉眼で見える範囲にはなりますが、屋根材のズレやひび割れ、コケの発生、錆がないか確認します。
もし自分で点検する場合は、屋根に登っての点検は、転落の危険性があるのでやめましょう!屋内や安全な場所から確認できる点検だけにしてください。ベランダから確認する場合は、脚立を立てて点検するのは転倒の危険があるのでやめた方が良いです。ベランダの手すりに近寄りすぎたり、身を乗り出したりするのも危険ですのでやめてください。
自分で点検するときは、何よりも安全面を優先しましょう。安全に確認できる範囲で、室内と地上から確認できることに絞って点検することをお薦めします。
点検をして問題が見つかった場合は、業者に修理を依頼しましょう。問題がなかった場合は、まずはひと安心ですね。ただ、何もしないと劣化が進んで問題が起きてしまう可能性が高くなるので、定期的な点検と適切なメンテナンスをすることで屋根の寿命を延ばし、大切なお住まいを長く快適に保つようにすると良いと思います。
何と言っても定期的に点検をすることが、屋根の寿命を延ばすのに大切です。業者に依頼するのがベストですが、難しい場合はご自身でできる範囲での目視による点検でも構いませんので、屋根の状態を確認して、問題があれば早め早めに対応することが屋根の寿命を延ばすことになります。なお、大型の台風や猛烈なゲリラ豪雨の後に点検するときは、築古の物件では特に念入りに確認しましょう。
屋根材の寿命を延ばすには、定期的な塗装が必要です。塗装は、屋根材を紫外線や雨風から守り、劣化を遅らせる効果があります。また、屋根と外壁の接合部分などシーリングを施している場合は、ひび割れや硬化している箇所がないか確認し、必要であれば補修をしましょう。その他、雨樋にゴミが詰まると、水が流れずに屋根に水が溜まり、雨漏りの原因となります。定期的に雨樋の清掃を行い、水の流れをスムーズにしましょう。
屋根の点検や修理を依頼する場合に、どうやって業者を選んだら良いのかお伝えしますので、参考にしてください。
新築時から住んでいる場合は、築年数が古くても家を建てた会社とお付き合いがあるかもしれません。中古で購入した場合でも、屋根以外のリフォームをしてもらっている会社があるかもしれません。家を建てた会社やリフォームをしてもらっている会社は、建築時やリフォーム時の対応に不満がなければ、安心して依頼することができます。
ご近所さんで屋根を修理した人がいないか聞いてみましょう。修理した人がいて工事の内容に満足していると、「紹介しようか?」と言ってくれることがあります。屋根のリフォームはそれなりの金額になるため、対応に少しでも不満があればご近所付き合いに問題が生じかねないので紹介しません。とはいえ、無条件で信用するのではなく、紹介してもらったらご自身で依頼して問題なさそうかしっかり確認しましょう。
付き合いがあって信用できる会社がない。ご近所さんからも良い情報が出てこない。その場合は、ネットで検索することになります。ネットで探す場合は、3社程度に相見積もりを依頼しましょう。相見積もりをすれば相場観が分かります。
相場観が分かったうえで、どの会社が良いかの判断は人によって価値観が変わりますが、工事内容を丁寧にしっかり説明してくれる会社が良いです。工事で問題が起きる会社は、説明が不十分だったり、お客様との間のコミュニケーションが足りていないことが多いからです。
また、工事の質に自信をもっている会社ほど、万が一の保険やアフターサービスがしっかりしているものです。リフォーム瑕疵保険や第三者賠償責任保険に加入しているかといったことも判断材料にすると良いです。
築年数に関わらず、台風やゲリラ豪雨による雨漏りを防ぐためには、日頃から屋根の点検やメンテナンスをしっかり行い、早めに対策することが非常に重要になります。屋根に関しては、早めの対策、本当にこの一言に尽きます。
築年数の古い戸建て住宅にお住まいで、屋根の点検やメンテナンスはずっとやっていないようであれば、まずはご自分で出来る点検で構わないので、確認するようにしてください。もし少しでも不安を感じる部分があれば、業者に点検を依頼してください。
安心して快適な生活を送るためにも、「屋根は早めの対策」を心掛けてください。
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