不人気な3点ユニットバス3つのリフォーム方法(事例付き)

2024年3月11日 |  コラム

以前はバスとトイレ、洗面台が一緒になった3点ユニットバスは、機能的で便利だと思われていましたが、今や不人気物件の代名詞となっています。ほとんどの入居者様が「バス・トイレ別」を希望する時代になっています。

3点ユニットバスだと賃貸物件を探す人がSUUMOなどで除外して検索するので、3点ユニットバスが原因でなかなか入居が決まらなかったり、家賃の値下げが必要になったりしている物件が増えています。物件オーナー様としては何らかの対処が必要と感じていて、3点ユニットバスを分離するか、家賃を下げるか一度は悩んだことがあるという方もいらっしゃるかもしれません。

また、3点ユニットバスのリフォームが空室対策として有効だったとしても、リフォームをすると大がかりな工事になって費用が高額になるのではないかと心配な方もいるかもしれません。

この記事では、入居者様が求めていること、3点ユニットバスのメリット・デメリット、リフォーム方法と相場感などを説明しますので、今後3点ユニットバスをどうするか検討する際の参考にしてください。

3点ユニットバスに関するランキング

はじめに、現状を正確に把握するために、SUUMO(スーモ)が実施した「一人暮らしのシングルに聞いた賃貸住宅設備ランキング 2021」の結果を確認していきましょう。
(※SUUMOのページはこちらをクリックしてご確認ください。)

付いていて当たり前・付いていない家は借りないと思う設備・仕様

「バス・トイレ別」が、全体、男女別ともに1位でした。

男性では57.8%で1位、女性では69.9%で1位となっています。ちなみに、男性の2位はエアコンで53.9%、3位はクローゼットで30.1%でした。女性の2位はエアコンで69.4%、3期はクローゼットで57.3%でした。

男女ともに、1位~3位は同じで1位の「バス・トイレ別」と2位の「エアコン」は3位のクローゼットと差があり、突出して付いていて当たり前と思われていることが分かります。

次に引越しをするときに絶対ほしいと思う設備・仕様

「バス・トイレ別」が59.7%で1位でした。この項目は男女別の結果はないので分かりません。2位はエアコンで49.0%ということで、圧倒的な1位です。

今住んでいる賃貸が「バス・トイレ別」ではない場合、次は「バス・トイレ別」の賃貸物件に住みたいと思う人が約6割もいるのです。

ランキング結果が意味すること

3点ユニットバスは、専有面積が狭いワンルームに最適な設備として、1970年代後半からバブル期にかけて広く普及しました。お風呂がなく、共同トイレが当たり前だった時代には、自宅に狭くてもお風呂とトイレがある高級物件として家賃も高かったわけですが、それは時代背景あってのものでした。

時代背景が変われば、その時代に求められる物件を賃貸物件のオーナー様としては提供していく必要がありますが、今の時代は、ランキング結果が示すとおり「バス・トイレ別」は賃貸物件を決める上で、当たり前のものになっています。空室対策として何をするべきか優先順位を考えるときに、このランキングは無視できないと思います。

3点ユニットバスのメリット・デメリット

では、なぜここまで3点ユニットバスは不人気なのでしょうか?もちろん、3点ユニットバスにメリットもありますが、それを上回るデメリットを入居者様が感じるために、不人気物件の代名詞になっているはずです。

3点ユニットバスのメリット

何といっても借主様にとって「家賃が安い」ことでしょう。住宅設備にこだわりがなく、とにかく安い賃貸物件を探している人には大きなメリットです。

他には、「3点ユニットバスにすることで、それぞれを独立させるのと比べて居住面積を広くできる」「お風呂とトイレが一緒になっているので、トイレ掃除が簡単にできる」といったことが挙げられることがあります。しかし、正直、メリットと言えるメリットとは思えません。

3点ユニットバスのデメリット

・最近では賃貸物件を探す人がSUUMOなどの住宅情報サイトで検索するときに除外して検索する
機能的なデメリットではないですが、現実的に起こり得る最大のデメリットです。

・湿気がこもりやすくカビが生えやすく不衛生に感じる
特に、シャワーカーテンはカビが発生しやすいです。カビはやはり不衛生に感じますよね。カビとは関係ないですが、シャワーカーテンが体にベタベタ付きやすいのが嫌という人もいます。

・せっかくお風呂があっても浴槽が狭いので入浴が難しい
あまり気にならない人もいるかもしれませんが、これが原因で、浴槽があるのに結局シャワーだけで済ませているという人も多くいます。

・お風呂と一緒なのでトイレに洗浄便座がつけられない
ウォシュレットは電気製品ですので、防水と防湿対策が必要です。実は、まったく洗浄便座をつけられないわけではないですが、防水と防湿対策の両方を備えたウォシュレットは高額なので、現実的につけるのは難しいです。コンセントに水がかかって漏電するリスクもあるので、いずれにしても難しいですね。

シャワーを浴びた後にトイレを使うとき、トイレ側に水が飛んでしまう
これは使い方にもよりますし、バスマットやタオルの置き方で回避できるかもしれませんが、シャワーカーテンを浴槽の内側で閉めて使っても、その後トイレを使うときに体から水滴が落ちてしまっては意味がありません。

上記以外にも、「トイレとお風呂が同一空間である」こと自体をデメリットと感じる人がいたり、「トイレットペーパーが濡れる」「便座カバーが湿気る」「冬場は濡れた床が冷たい」など、さまざまなデメリットがあります。

3点ユニットバスの3つのリフォーム方法

多くの人がたくさんのデメリットを感じる3点ユニットバスをリフォームして、SUUMOなどの住宅情報サイトで検索するときに除外されず、入居率を改善するための3つのリフォーム方法を説明します。

バスとトイレを間仕切りで分離するリフォーム

これは簡易なリフォーム方法になります。浴槽の縁にサッシを取り付けるなどして、バスとトイレを分離します。こうすることで、「バス・トイレ別」で住宅情報サイトに掲載することができます。

バスとトイレを分離してはいますが、かなり簡易的な方法なので、本当の意味での「バス・トイレ別」とは違います。そのため、内見で思っていたのと違う・・・ということで検討対象から漏れてしまう可能性があります。

費用相場は20~30万円ほどになっています。

浴槽を無くしてシャワーとトイレに分離するリフォーム

浴槽を無くした上で間仕切りを入れて、シャワーとトイレに分離するリフォーム方法です。浴槽が狭いので入浴が難しいというデメリットがありましたが、そもそも湯船につからなくて大丈夫、シャワーだけで十分、という人は意外と多いです。

もちろん住宅情報サイトに「バス・トイレ別」で掲載できますし、1の簡易な間仕切りと違って、しっかりとした間仕切りがされるので、「バス・トイレ別」をきちんと実現できます。

費用相場は70~100万円となっています。

2点ユニットに交換してトイレを移動するリフォーム

3点ユニットから、お風呂と洗面器の2点ユニットに交換し、押し入れやクローゼットの空間をトイレに移動するリフォームです。トイレを別の場所に設けるためには1畳くらいのスペースが必要になります。

そのため、住居スペースが狭くなってしまったり、収納スペースが足りなくなってしまうデメリットがあります。また、トイレを設置する場所まで給排水管を配管できるかという問題をクリアする必要があります。

実現できれば、トイレは完全に別になりますので、もっとも明確な「バス・トイレ別」を実現できることになりますが、費用相場としては100~200万円と高額になりますし、上述の住居スペースや収納スペースの問題を許容できるかが大きな問題になります。

当社が推奨する3点ユニットバスのリフォーム方法

3つのリフォーム方法をご紹介しましたが、当社が推奨するのは2つ目のリフォーム方法です。

バスとトイレの間仕切りを推奨しない理由

1つ目のリフォーム方法で記載した、バスとトイレを間仕切りする方法ですが、当社では2つの観点から推奨していません。

まず、3点ユニットバスの多くは浴槽の縁上に洗面器が設置してあるものが多いため、サッシを取り付ける施工ができるユニットバスが現実的に少ない、ということがあります。

そして、こちらが重要ですが、リフォーム方法のところでも書きましたが、内見をした人が「バス・トイレ別になっていたから内見したのに、これはバス・トイレ別ではないでしょ?時間を無駄にした!」とトラブルになりかねないからです。

住宅情報サイトに「バス・トイレ別」で掲載できることが目的ではなく、賃貸物件を探しているお客様が求めている「バス・トイレ別」の物件を提供することで、空室対策をすることを目的です。

空室対策として効果的とは考えられないためリフォーム方法と当社は考えていますので、推奨していませんし、当社ではこの方法でのリフォームは実施していません。

2点ユニットに交換・トイレの移動を推奨しない理由

こちらのリフォーム方法も2つの観点から推奨していません。

まず、リフォーム費用が高額になり、物件オーナー様の収支が悪化してしまうからです。リフォームにかかった費用を、安易に家賃に転嫁すると空室対策として意味がなくなってしまう可能性がありますし、回収するのが難しいと考えます。

また、トイレを移設するスペースがない物件が多いというのがあります。3点ユニットバスは狭小なワンルームでも居住面積が少しでも広くなるというメリットで選ばれることが多いですが、狭いスペースの中で無理にトイレを移設しても、居住面積が狭くなる、収納が足りなくなるなど、もともとのメリットが無くなり新たなデメリットが発生してしまいます。

そのため、物件オーナー様からのご要望がない限り、リフォーム方法としてご提案するのは現実的ではないと考えます。

浴槽を無くしてシャワーとトイレに分離するリフォーム事例

リフォームしたら具体的にどのようになるのか、まだイメージがわいていないかもしれませんので、実際の事例をご覧いただきたいと思います。とある賃貸アパートでのリフォーム事例の写真になります。

リフォーム前の3点ユニットバス

リフォーム後のシャワー・トイレ・洗面台

3点ユニットバスリフォーム必要性の判断

リフォーム前と後を比べていただいていかがでしょうか?

3点ユニットバスと比べて、かなりスタイリッシュですし、実際に使い勝手も良くリフォームした物件では入居者様の評判も良いです。

まずは「バス・トイレ別」で掲載できないことで、空室期間が長引いている部屋があるかです。SUUMOのランキング結果から考えると、3点ユニットバスの物件は空室期間が長期に及んでもおかしくない状況にあります。そのうち決まるだろうと思って決まるような状況でないほど、3点ユニットバスが賃貸物件を決める上で大きなマイナスの影響を与えています。

3点ユニットバスをリフォームすることで入居者が決まりやすくなりますので、空室期間が長引いて家賃収入が得られない状態が続くよりも、リフォームをして少しでも早く入居してもらう方が、オーナー様・管理会社様にとっても良いのではないでしょうか。

さいごに

3点ユニットバスは不人気で、浴槽を無くしてシャワーとトイレに分離するリフォームがお薦めとお伝えしました。

私は昭和生まれなので、一人暮らしでワンルームに住むことになったとき、3点ユニットバスは自然というか何の不満も感じませんでした。しかし、SUUMOのランキングが表しているとおり、大きな時代の変化を感じます。

バス・トイレ別が当たり前ではない時代は、3点ユニットバスが当たり前でしたが、バス・トイレ別が当たり前の今の時代では、3点ユニットバスが当たり前ではなくなっているのです。

物件を探している人たちがどのようなニーズをもっているのか、当社としてもしっかりニーズを把握をして、物件オーナー様や管理会社様に最適な提案をすることで、賃貸物件の稼働率を高めるお手伝いができるよう努めてまいります。

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