2024年5月28日 | コラム
トイレタンクは止水栓から給水管がつながっています。給水管とは、トイレで使う水を運ぶ配管で、壁や床からつながっています。止水栓とはトイレへ水を運ぶのを止めたり、水量を調節するための栓です。給水管も止水栓も水道管と接続しているので常に高い水圧がかかる場所です。そのため、止水栓と給水管の接合部、給水管とトイレタンクの接合部から水漏れをすることがあります。
配管同士をつなぐ部分は、バルブやナットで固定されています。これが長年使用している間に緩んでしまうと隙間ができて水漏れしてしまいます。バルブやナットが緩んでいるだけであれば、締め直すことで水漏れを解消できます。
ナットを締め直しても水漏れがあるならパッキンの経年劣化が疑われます。パッキンはゴム製なので、経年劣化すると硬くなってひび割れしたり、縮んだりします。ナットの内部にパッキンがあることで隙間を埋めていますが、ひび割れたり縮むと隙間が埋められなくなって水漏れします。パッキンを交換することで水漏れを解消できます。
トイレのタンク内で水漏れとはどういうこと?と思われる方もいますよね。通常、トイレを使っていないときはトイレタンクに給水はされません。トイレを使って水を流したら、その分を給水することになります。しかし、トイレのタンク内部の部品の故障や不具合で、トイレを使っていないときでも、給水管からタンクに給水される=水漏れがおきます。
そのため、「トイレタンクの中からポタポタ音がする」ことで、水漏れに気づくというのが特徴的です。床や便器、配管などが濡れているというような、他の水漏れとはちょっと違うイメージですね。
ボールタップも浮き球も、普通にトイレを使っているだけだと、まず聞いたことも見たこともないと思います。ボールタップと浮き球とはなにかは、トイレの仕組みとあわせて説明します。
レバーを引くと水が流れますよね。あれは、まずレバーについているチェーンが引っ張られます。チェーンの先についていて排水管に蓋をしているゴムフロートが開くことで、便器内に水が排出されます。排出した分、トイレタンク内の水位が下がり、浮き球の位置が下がります。
排出して減った水をトイレのタンクにどうやって貯まるかですが、浮き球の位置が下がったのを浮き球とつながっているボールタップが検知します。ボールタップの弁が開いて、タンク内に給水します。水位が上がると浮き球の位置が上がります。一定の水位になるとボールタップの弁が閉じて給水が止まります。
このように、ボールタップと浮き球が連動することで、トイレタンク内の水位を一定に保っています。どちらか一方でも故障や不具合が起きると、給水が止まらない=水漏れしてしまうのです。
ボールタップや浮き球に何かがひっかかっている場合は正しく動作するように直し、故障している場合は交換することで水漏れを解消できます。
タンクと便器の間?一体じゃないの?と思う方もいるかもしれません。トイレのタンクと便器は別々のパーツで、組み立てられてトイレの形になっており、基本的に金属製のボルトで固定されています。タンク下部にある排水口と便器の排水口の間に隙間ができてしまうので、密結パッキンというパッキンで隙間を埋めています(タンクレストイレの場合はもちろん除きます)。
密結パッキンはゴム製のため、長期間使用しているとひび割れしたり、縮んだりします。そのため、タンクと便器の間に隙間が生まれてしまい、水漏れします。
密結パッキンを交換すれば水漏れを解消できますが、タンクを取り外す必要があります。タンクには給水管が接続していたり、タンクは割れやすい陶器製で結構な重量があるため、給水管やタンクを破損させないよう慎重な作業が必要になります。
トイレで水を流していないときでも、便器にチョロチョロ水が流れている場合、便器内で水漏れをしています。
トイレのタンク内の水漏れのところで、トイレの仕組みを書きました。そこでレバーを引いて水を流すときに、レバーについているチェーンの先のゴムフロートが開くことで、タンクから便器に水が流れると説明しました。
ゴムフロートが経年劣化して壊れると正常に動かなくなったり、隙間から便器に少しずつ水が漏れてしまいます。また、チェーンがゴムフロートに絡まることで排水口にしっかり栓ができず、ゴムフロートが引っ張られて隙間ができて水漏れすることもあります。チェーンが絡まっているだけなら、絡まりをほどけば水漏れを解消できますが、ゴムフロートが故障しているなら交換が必要です。
オーバーフロー管は、タンクに水が溜まりすぎたときに排水するための管です。オーバーフロー管が破損すると、破損した箇所からタンク内の水が浸入し、便器に排水される=水漏れします。この場合も水漏れ解消には交換が必要です。
稀ではありますが、便器本体から水漏れすることもあります。
ほとんどの便器は陶器でできています。とはいえ丈夫な陶器なので、強い衝撃が加わらなければひび割れすることは基本的にありません。トイレなので、硬い物をぶつける、重いものを落とすということは考えにくいですが、もしあればひび割れする可能性があります。あとは、大きな地震が起きたときはひび割れする可能性があります。
便器本体のひび割れによる水漏れは、メーカーはトイレごとの交換を推奨しています。
便器と床の間からの水漏れです。便器から床にかけてじわっと濡れているのを見ると、それだけで精神的に動揺してしまいますよね。
トイレの設置不良は、トイレを設置するときに便器と排水管のつなぎ目がズレたり、部品に不備があると水漏れします。起こり得るのは、初期に便器を設置したとき、新しい便器に交換したとき、修理で一度便器を取り外したときくらいです。
こちらの方が主たる原因です。フランジパテとは、トイレと床下の排水管の間にある水漏れを防ぐための部品です。フランジパテは粘土状のものですが、使い続けていると経年劣化により硬くなりひびが入ったり、割れたりして水漏れしてしまいます。
トイレの水漏れで温水洗浄便座?と思うかもしれませんが、洗浄ノズルから水が出るからには、水を使っているので水漏れする可能性があります。水漏れは、洗浄ノズル、操作パネルの下側、便座の脇で起きることが多いです。
ノズルの故障や給水管フィルターの目詰まりが原因として多くなっています。ノズル部分は普段から掃除をしっかりする、フィルターは交換をすることで故障や目詰まりが起きる可能性を低くできます。その他の原因は、温水洗浄便座は電化製品で複雑な作りになっているため、実は、原因を特定するのが難しいです。
部品の交換で直るのか、温水洗浄便座自体を交換しないと直らないか、正確に判断するには専門知識が必要になります。
トイレの水漏れが起きる箇所別に原因をお伝えしました。
陶器のトイレの場合、水漏れがあったとしても、本体が割れない限り、見た目が気にならなければパッキンなどを交換することで、使おうと思えば半永久的に使うことができます。ただ、温水洗浄便座つきのトイレが増えてきていますので、温水洗浄便座は電化製品のため、しっかりメンテナンスしないといけません。
また、水漏れの箇所や故障の内容によっては自分で交換や修理をできるものもありますが、少しでも不安があれば修理業者に依頼するのが無難です。その際は、各自治体の水道局のホームページにリストが公開されていますので、水道局指定工事店に依頼しましょう。水まわりの修理は、ネットで格安を謳っていても、実際に高額な料金を請求されるケースが後を絶ちませんので。
賃貸住宅に住んでいる場合は、水漏れを見つけたら、まず応急処置として止水栓を閉めてから、管理会社か大家さんに連絡をしてください。賃貸借契約の中で、設備に不具合が発生した場合の対応が決まっています。経年劣化によるものの場合、借主が負担しないことが多いです。負担もそうですが、確認をとらずに修理を進めると、たとえば床下の配管を勝手に修理すると他の部屋に影響が出てしまう可能性がありますので、そういう意味でも、管理会社か大家さんに連絡して進めましょう。