2024年7月10日 | コラム
「最近、給湯器から変な音が聞こえるんだけど…もしかして故障?放っておいても大丈夫?」
そう思われたことはありませんか?この記事を読んでいるということは、もしかしたら、今まさに給湯器から変な音が聞こえて、ビックリして調べている人もいるかもしれませんね。
故障でお客様のところに伺って話を聞くと、「なんか音はしているなと思ってはいたんですけど、大丈夫かなって思ってそのまま使っていました。」とおっしゃる方が結構います。まぁ大丈夫でしょ、って思う気持ちは分かります。ですが、専門家の立場としては、給湯器からいつもと違う音、今まで聞こえなかった音が聞こえたら、放置しないことが大切です。
放置すると故障につながる可能性があります。それだけでなく、最悪、火災や一酸化炭素中毒といった重大な事故になってしまう可能性もあります。不安を煽るような感じになってすみません。でも、安心して使っていただくためにも、異音がする原因を特定して、早めに対処するに越したことはありません。
この記事では、給湯器の故障の可能性がある異音の種類と異音がする原因、放置するリスク、異音が発生した場合の対処法などを解説します。安心・安全に給湯器を使用していただくために、参考にしていただけると嬉しいです。
給湯器に限らず、ガス機器で一番怖いのがこれですね。
小さな爆発音のような「ボンッ」という音が聞こえたら、不完全燃焼やガス漏れが起きている可能性がある、とても危険な状況です。給湯器の経年劣化や給湯器の水漏れ放置、給排気口の詰まりなどが原因で起こります。
不完全燃焼やガス漏れしたまま使用すると、爆発や爆発に伴う火災、一酸化炭素中毒という重大な事故が起こる可能性があります。給湯器が壊れてお湯が出ない、お湯がなかなか温かくならないなどの生活への影響ではなく、最悪命の危険を伴う給湯器の不具合ですので、「まぁ大丈夫でしょ」と思わずに、安全を第一に考えてください。
もし、ガスの臭いを感じる場合や排気口から黒い煙が出ている場合は、危険ですのですぐに給湯器の使用を中止してください。
続いても、不完全燃焼を引き起こしかねないものです。
排気口から「ゴーッ」という音が聞こえたら、異物が排気口に詰まっている可能性があります。異物とは、ゴミや埃をイメージするかもしれませんが、それ以外にセミやネズミなどの生き物が入り込むこともあります。異物が吸気口や排気口をふさぐことで、給排気が遮られて異音がします。
給排気を遮られると十分な吸排気ができなくなります。給湯器の劣化が早まったり、故障に繋がる可能性があります。また、給湯器内部でガスの不完全燃焼を引き起こす可能性があり危険です。排気口の異物を取り除けば解消しますが、自力では簡単に取り除けない場合もあります。その場合は、専門業者に点検を依頼するのが良いです。
続いては、給湯器の部品の故障や劣化です。
循環パイプは、給湯器で沸かしたお湯をお風呂(浴槽)に循環するための配管です。また、熱交換器は、給湯器の中でお湯を沸かす部品です。
追い炊き時に「ポコンポコン」「ボコンボコン」という音(別名、釜鳴りと言います)が聞こえたら、給湯器内でお湯の循環がうまくいっていない状況です。循環パイプの傾きに異常があったり、折れ曲がりがある、異物の詰まりがある、熱交換器が経年劣化しているなどの可能性があります。
お湯の循環がうまくいかない影響で、追い炊きに時間がかかります。入浴剤や湯垢の詰まりが原因なら、フィルターや配管を掃除すると異音が解消することもあります。危険度は高くありませんが、そのまま使っていると、循環パイプや熱交換器が故障して、配管や給湯器の交換が必要になる可能性があります。なるべく早めに専門業者に相談すると良いです。
次も、給湯器の部品の故障です。
ファンモーターは、モーターが回転することでガスが燃焼するのに必要な酸素をバーナーに送り、燃焼した排ガスを外に送り出すという重要な部品です。
笛のような「ピー」という音が聞こえたら、ファンモーターが故障している可能性があります。ファンモーターが経年劣化や汚れにより故障すると、モーターの回転数や回転バランスが崩れることで、普段はしない音が出ます。「ブーン」「ブィーン」「ウィーン」のような音はファンモーターが回転している正常な作動音なので問題ありません。
ファンモーターに不具合があると、「お湯が出なくなる」、「温度調整ができなくなる」など、給湯器が正常に動かなくなる可能性があります。故障して動かくなくなることもあるので、完全に故障する前に余裕をもって専門業者に点検してもらうと良いです。
ここまでのと毛色が変わって、ウォーターハンマー?何それ?って感じかもしれないですね。
蛇口を閉めた後に「キーン」「ドン」「ガン」という音が聞こえたら、ウォーターハンマー現象の可能性があります。これは、蛇口を急に閉めたときに、配管内の水圧が急激に変化して、配管に勢いよく水(お湯)がぶつかることで聞こえます。
蛇口をゆっくりと閉めることで、配管内の圧力変化を軽減すると効果的ですが、放置しておくと配管にダメージが蓄積して、センサー類が故障したり、水道管が破裂する可能性があります。ちょっとイメージがしにくい現象ですが、ウォーターハンマー現象による音が続くようなら、大きなトラブルに発展してしまう可能性があるので、早めに専門業者に相談するのが良いです。
上記では、故障の可能性がある異音をお伝えしました。でも、音の聞こえ方は人によって少し変わることもあるので、微妙に違った音に聞こえるという人もいると思います。
また、上記で紹介した音以外にも、給湯器からは他にいろんな音が出ます。その一つ一つが、確実にこれは問題ない音ですとは言い切れなかったり、専門知識がないと音を聞き分けられなかったりするので、参考としてみていただいて、もし、少しでも不安があれば専門業者に問い合わせるのが安心です。
異音がする原因のところでも記載しましたが、異音がしているのを放置するリスクをまとめると次のようになります。
異音がするのは、給湯器が故障する兆候であることが多いです。放置すると故障したり、故障が悪化したり、壊れてしまう可能性があります。修理が可能な場合でも、故障が悪化すると修理費用が高額になることもあります。当然ですが、壊れてしまうと新しい給湯器に交換が必要になります。
ガス漏れが原因で異音がしている場合、漏れたガスが引火して爆発事故が起きて火災になる可能性があります。また、不完全燃焼が原因で異音がしている場合、異常燃焼が起きて火災になる可能性があります。
不完全燃焼が原因の場合、火災に加えて、一酸化炭素中毒になる可能性があります。一酸化炭素は無味無臭のため、気づいたときには手遅れになる可能性もあります。頭痛やめまい、吐き気などの症状を感じたら、すぐに使用を中止しましょう。
上記のようなリスクを避けるためにも、異音が聞こえたら次のことを確認しましょう。
何度か書いているとおり、やっぱり一番怖いのはガス漏れ、それに伴う爆発、火災。不完全燃焼による一酸化炭素中毒です。この可能性がある場合は、とにかく早く対応する必要があるので、蛇口とガス栓を締めてから、ガスの臭いがするかどうかを確認しましょう。
一番分かりやすいのは、給湯器のリモコンにエラーコードが表示されていないか確認することです。エラーコードが表示されていたら取扱説明書でエラーの内容と対処方法を確認してください。
取扱説明書が見当たらない場合、ノーリツとリンナイのガス給湯器は、以下をクリックするとメーカーサイトでエラーコードを入力するとエラー内容を調べることができます。
排気口や排気管に異物がつまって塞がれていないか確認しましょう。異物の混入のところで書きましたが、異物を取り除いても異音が止まらない場合は不完全燃焼を引き起こす可能性があるので、詰まりくらい大したことないだろうと思わずに、しっかり確認してください。
エラーコードを確認して対処法を試したり、フィルターや配管、排気口、排気管などを清掃して詰まりを取り除くなど、自分でできることをやっても異音が解消しない場合は、専門業者に依頼しましょう。自分でやるのが不安な場合も、専門業者に依頼しましょう。
賃貸住宅に住んでいる場合は、不動産管理会社または大家さんに連絡すれば、業者に連絡してくれることがほとんどです。持ち家の場合は、給湯器を購入したメーカー、契約しているガス会社、修理業者のいずれかにご自分で連絡してください。
修理業者に依頼する場合は、ネットで格安業者を見つけて高額請求されるトラブルが多いので、注意が必要です。繰り返しになりますが、ガス機器は事故が起きると大変です。料金が安いこと以上に安全に工事できることが大切です。
給湯器内部の部品の経年劣化など、異音がする故障を完全に防ぐことはできない原因もあります。しかし、少しでも異音がする(故障する)のを防ぐために、給湯器の本体や周辺を定期的に掃除しましょう。
給湯器の外装の汚れは、濡れた布で拭いて、その後水気をふき取りましょう。汚れがひどい場合は、中性洗剤をつかってください。給湯器の排気口や吸気口に埃やゴミがつまっていたら、乾いた布や市販の小さいモップなどをつかって、取り除きましょう。
また、給湯器の周辺を掃除して清潔にしましょう。汚れていると虫が浸入しやすくなります。
なお、ご自分で外装を外して内部の掃除(メンテナンス)をするのはやめてください。思わぬ事故に繋がる可能性や故障の原因になる可能性があります。
ガス給湯器メーカーは、点検・交換の目安を10年としています。ガス給湯器が標準的に使われた場合、安全に支障なく使用できる年数=設計上の標準使用年期間を10年と定めていて、10年を超えると経年劣化のリスクが高くなり、故障や不具合が起きる可能性があるためです。
点検は有償になりますが、10年前後使用した製品の経年劣化の状態を調べてもらえますので、状態を確認したうえで使用しつづける、または交換する判断ができて安心です。
給湯器からの異音についてまとめましたが、大切なのは、普段と違う音がすると思ったら放置せずに確認することです。しつこいかもしれませんが、ガス機器は最悪の事態として、爆発やそれによる火災、一酸化炭素中毒が起こり得ることを前提に、いかに安全に使用するかです。
最悪の事態にはならなくても、給湯器は日々使うものなので、故障で急に使えなくなると困るものです。冬場にお湯が出なくなったりするとツライですよね。日常的に使うものだからこそ、安心して使えることが一番です。