2023年12月2日 | 売買・仲介事例
相続した不動産を売却したいとご相談いただいた事例です。現在進行中の事例で、今後、相続人の方と最適な販売方法を検討して販売する予定です。
本記事は、以下のような人に読んでいただくとお役に立つと思います。
相続人の方が鍵を持っていないため、玄関の鍵の解錠からスタートです。
「そういえば、実家の鍵を持っていない。鍵が無かったらどうなるんだろう?」「鍵屋さんに頼んだら普通に解錠してもらえるのかな?」「相続した家で自分の家ではないから、何かしら証明が必要かな?」といった感じで、心配になった方も多くいるのではないでしょうか?
頻繁に実家に帰っている方は鍵を持っているかもしれませんが、年末年始だけ、年に数回みたいな感じだったり、被相続人と疎遠になっていたりしたら、鍵を持っていない方が普通ですよね。かく言う私も、実家の鍵を持っていません。
ただ、誰でも鍵屋さんに依頼して解錠できてしまうと犯罪につながりかねません。そのため、解錠するためには身分証明が必要になります。身分証明ができれば、鍵屋さんに解錠してもらうことができますので、鍵をもっていないことで心配する必要はありません。
今回は相続人の方が鍵を持っていないため、当社で鍵開け業者を手配して、相続人の方の立ち会いのもと鍵を解錠しました。
無事に解錠できて玄関のドアが開いたので、建物の中に入って内部の確認をしていきます。
相続した物件を売却する場合、基本的に残置物を売主が処分したうえで売却となります(マナーというか慣例です)。ここで言う残置物というのは、家具や家電、衣類、靴、本、楽器など被相続人の所有物すべてを指します。
残置物といってもすべて大切な相続財産になりますので、相続人の方に確認してもらい、貴重品等を除いて、不要な残置物を当社で処分します。戸建て一軒分となると、相当な種類と量になります。
相続人ご自身でも処分できますが、その場合は、粗大ごみや家電は各自治体や法律に従った処分が必要です。先ほども書いたとおり相当な量になるので、残置物を種類別に仕分けて、普通ゴミで出す、粗大ごみで出す、ごみ処理施設に持ち込むなどをするのは、正直、かなり大変です。
また、廃品回収業者に依頼して回収してもらったり、物によっては買取業者に買い取ってもらう方法もあります。ただ、廃品回収業者や買取業者は、業者によって回収・買取できる物が異なるので、複数の業者に依頼しなければいけない可能性があります。そうなるとこれも結構手間ですね。
当社のように不動産会社で処分できる会社もありますので、残置物の処分を頼める不動産会社を探すと手間が省けます。
残置物を処分するための整理ができたら、次は建物の状態を確認していきます。
補修が必要な箇所や瑕疵はないか、特に、水道菅・下水道管の破損や詰まり、雨漏り等、建物の状態等を確認します。今回は数年間空き家になっていた物件で、そういう物件は水まわりのトラブルが起きやすいため、しっかり確認が必要です。
案の定と言いますか、、、2階のトイレで水漏れが発生していました。写真から分かるとおり、床が濡れた状態で、床板が腐り広範囲にカビが発生しています。しかも2階のトイレということで、天井と壁から1階に水漏れが伝わって、1階でも酷いカビが発生しています。
さらに良くないことに、シロアリが発生していました。シロアリは、湿度が高いところに発生しやすく、水漏れで湿っている床や壁の木材は大好物で、住み着いてしまいます。シロアリは放っておくと木材を食い荒らして、木材の中がスカスカになってしまうので、駆除をして補修が必要になります。
ちなみにシロアリは、アリと付きますがゴキブリ目シロアリ科なので、ゴキブリの仲間になります。
2階トイレの水漏れの原因ですが、数年間空き家であったにも関わらず、止水栓(元栓)を閉めていなかったことです。止水栓を閉めないと、配水圧力がかかっている状態です。給水管は、いくつかの管をつなげて水を運んでいる場合があり、その場合、管と管とのつなぎ目である接続部はどうしても強度的に弱い箇所となり、漏水につながりやすいのです。
ということで、まずは応急処置として、すぐに止水栓を閉めました。
止水栓はどこにあるの?という人もいるかもしれまんが、基本的にはメーターボックス内にあります(まれにメーターボックス内に無く、独立してある場合もあります)。止水栓は右に回せば閉まって水が止まります。この事例とは関係ありませんが、長期間不在にする場合も、止水栓を閉めるようしましょう。
つづいて、隣地との境界の確認です。
戸建ての場合、隣地との境界を正確に把握することが重要です。そもそも、「隣地との境界が曖昧になっていることなんてあるの?まぁ、地方だったらありえるのかな。」みたいに思う人が多いかもしれません。しかし、都市部でも古くからある町では、境界が曖昧な土地が意外とあります。
具体的には、隣地との境界石を確認します。境界石は、隣接する土地および道路との境界を示すもので、「石」と言いますが、実際には、コンクリートや金属、プラスチック、鋲などが使用されます。境界石が無い部分は、境界が明確ではないということになるので明確にします。
境界を明確にするためには、土地家屋調査士に依頼します。土地家屋調査士は、法務局で公図や地積測量図、登記事項証明書などの必要資料の収集、現地調査などを行ったうえで復元点を導き出して、実際に測量をして確定測量します。
確定測量していないと、「じゃあ、相続した不動産を販売しよう」となったときに、買主による値下げ交渉の材料にされてしまいます。なんとなくイメージできると思いますが、境界が明確でないところを土地面積が狭くなるように主張して、その分値下げするように言われる感じです。
どうしても急いで売却する必要がある場合は、値下げはやむなしで、境界が曖昧な状態のままでの現況引渡しになります。
でも、買主のことを考えても、確定測量はやった方が良いのは間違いないです。確定測量することで、買主も購入後に境界で揉めるリスクを無くせるなら、無くしておくに越したことはありませんから。
境界を明確にするには、隣地の居住者さんに協力してもらう必要があります。境界ですから、一方的に「こうでしょ!」なんて決めることはできません。
一般論ではありますが、今回は相続ということで、被相続人の方と隣地の居住者さんは、お付き合いがあったでしょうから協力してもらいやすいはずです。これが新しく購入した買主となると、まったくお付き合いもないことから、いざ境界に関するトラブルになったときに、調整がうまく進まないリスクがあります。やはり人間関係というのは大きな要素です。
不動産を販売する場合、売主にとって最適な販売方法を決定していきますが、次の3つの方法から検討します。
方法1.ルームクリーニングで販売
方法2.ルームクリーニングおよび修理が必要な部分(特に、汚れてる水まわり等)をリフォームして販売
方法3.リフォーム費用が高額になる場合は建物を解体して更地にして販売
建物の状態を確認した結果、ルームクリーニングするくらいで販売できそうであれば、方法1を検討します。今回の事例は、2階トイレからの漏水があるので、方法1は選択肢から外れます。
ルームクリーニングでは済まず、修理が必要な部分があれば、リフォームして販売する方法2を検討します。今回の事例は、2階トイレの漏水に伴うリフォームが必要なります。
リフォーム費用が高額になる場合、解体して更地にして販売する方が売主の手元に入る金額が多くなる可能性があります。その場合は、方法3を検討します。
今回の事例は、販売方法2と3のどちらかが最適な販売方法となります。販売方法2と3の比較でポイントになることは2つあります。
リフォーム費用をいかに抑えられるか、解体して更地にする費用をいかに抑えられるか、という費用面です。
費用を抑えるためには、自社施工できる不動産会社に依頼するのが良いです。リフォームは建築会社、水まわり工事は水道会社、解体は解体業者と別個に依頼するのは管理も大変です。かといって、不動産会社に間に入ってもらうとマージン分が費用として高くなってしまいます。
リフォームして、不動産を販売した後(アフターサービス)の観点です。
今回の事例だと、リフォームは建築会社、水まわり工事は水道会社、仲介は不動産会社といった感じで複数の会社と関わることになります。そうなると、販売後に何かあった場合に、どういう問題だったらどこに連絡すればいいか分かりませんよね。連絡しても、「それはうちじゃないですね。」みたいに言われでもしたら、嫌になってしまうと思います。
水まわりを含むリフォームと不動産仲介を1社でできる会社に依頼するのが良いです。これだと、あくまで連絡先は1社ですので、何か問題があったとしても、アフターサービスを1社で対応してもらえると安心です。
これはアフターサービスの話ではないですが、買主の立場で考えても、売買の仲介をする不動産会社がリフォーム業者として物件の説明を明確にすることで、安心して購入できます。購入後に「自分で追加の補修が必要になる部分があるんじゃないか?」という不安があると、どうしても値引き交渉になりやすいです。値引き交渉の材料を無くして販売することは、売主としてもメリットが大きいです。
販売方法1~3いずれの方法でも自社施工で対応できます。
リフォーム業をやっている不動産会社はたくさんありますが、解体と水まわり工事まで自社施工できる不動産会社は少ないです。解体は建設業許可が必要ですし、解体に伴って発生する廃棄物を処分するには産業廃棄物収集運搬業許可が必要です。水まわり工事は、給水管の交換などが発生する場合は、上下水道の指定工事事業者でなければできません。
当社は、建設業許可(許可を受けた建設業:建築工事業、管工事業、内装仕上工事業、解体工事業)、産業廃棄物収集運搬業許可を取得、上下水道の指定工事事業者と、必要な免許や資格を保有していますので、水まわりの工事を含むリフォームと不動産仲介まで1社でワンストップで対応で、費用を抑えて進めることができます。
不動産の売買で不動産会社を探している場合、一度ご相談ください。