2024年3月20日 | 水まわり工事事例
不動産管理会社様から、入居者様あてに横浜市水道局から「水漏れの可能性があります」という手紙が来たということで、横浜市神奈川区の賃貸アパートの水漏れ修理のご依頼をいただきました。
横浜市では2ヶ月に1回使用水量の検針を行って、水道料金を計算しています。検針員さんが水道メーターの検針をしたときに、使用水量が急激に増加していたり、水道メーターが止まっているのにパイロットが回っている場合、漏水の疑いがあるということで、水道局から漏水確認の手紙が来ることがあります。
明らかに水が漏れていることが分かれば、入居者様も自分で気づくはずです。水漏れの可能性があるという手紙が来て初めて、「え?水漏れしているかもしれないの?」「水漏れしているならどこから?」「水漏れがあった場合、水道料金はどうなるの?」など、いろんな不安に駆られると思いますので、ご依頼をいただいてすぐにお伺いしました。
まずは、本当に水漏れしているかの確認です。
水道メーターを確認すると、パイロットがずっと回っていたので水漏れしています。
水道メーターの水量のメモリは白い数字が㎥(1000リットル)、赤い数字および針がリットルのため、漏水していても短時間ではメーターの数字の変化を確認するのは難しいことがあるのでパイロットで確認します。パイロットは、水道メーター内に設置されている小さなコマ状の部品で、水が流れると内部のタービンが回転してパイロットが回る仕組みなので、水を使っていないときはパイロットは回りません。
次に、どこで水漏れをしているのかの特定です。水道メーターを見ることで水漏れしていることが分かっても、どこで水漏れしているかは分かりません。キッチンや洗面台、お風呂、トイレ、床下の給水管など、水漏れする箇所はいろいろあるので、調査が必要になります。
今回の場合は、トイレの便器から水が止まらずに流れ続けているのがすぐに確認できました。「トイレで水漏れが起きる原因とは?7つの箇所別に解説」の記事でご紹介していますが、このように便器から水が止まらない場合は、トイレで水漏れをしていることになります。
すぐに水漏れが起きている場所が特定できない場合は、
という流れになります。
トイレの水漏れでは、いくつか原因が考えられますが、今回はゴムフロートの劣化が原因でした。ゴムフロートはトイレタンクの底にある、便器につながる排水管に蓋をする部品です。トイレのレバーを引くとゴムフロートが外れて、タンクの水が便器に流れる仕組みです。
ゴムフロートは水にずっと浸っているため、どうしても劣化もしやすくなります。ゴムフロートはその名のとおりゴム製品で、ゴムは劣化すると硬くなって割れたり、ひびが入って隙間ができます。
そうすると、トイレを使っていないときでもタンクの水が隙間から便器へ流れてしまいます。便器に流れた分、タンク内の水が少なくなるので、元の水量を保つためにボールタップという部品からタンク内に給水されます。
自分で蛇口を開けて水を流しているのと違ってイメージが湧きにくいかもしれませんが、タンク内で給水している=ずっと水を使っていることになるんです。そのため、水道メーターのパイロットが回っていたということになります。
ゴムフロートを交換するために、まず止水栓を閉めてタンクへの給水を止めます。次にタンク内の水を抜いて空にします。空になったらタンクのフタを取り外します。ゴムフロートは、チェーンに繋がっているのでチェーンから外して取り出します。新しいゴムフロートをチェーンに取り付けて、タンクの底(排水管に繋がる部分)に戻します。タンクのフタを閉めて、止水栓を開いて完了です。
ゴムフロートは水にずっとさらされているので、ゴムの加水分解によってベタベタします。手袋を付けて取り出さないと、手が真っ黒になってしまうほどです。
今回、水漏れの直接の原因はゴムフロートで交換をしましたが、あわせてボールタップの交換もしました。ボールタップは給水管と繋がっていて、タンク内の水量が減ると給水する部品です。こちらの部品が経年劣化すると、タンク内の水量調節がうまく行かなくなり、水漏れすることがあります。
ゴムフロートを交換する際に確認したところ、ボールタップの年式が古かったため、今後の経年劣化による水漏れのリスクを考慮して、ボールタップもあわせて交換をしました。
ボールタップの交換は、ゴムフロートの交換後、続けて行います。ボールタップは給水管および手洗い管、補助水管と繋がっていますので、まず給水管と手洗い管、補助水管を取り外します。その後ボールタップを外して、新しいボールタップを取り付けます。新しいボールタップに給水管、手洗い管、補助水管を取り付けて完了です。
ゴムフロートとボールタップを新しいものに交換して、実際にトイレの水を流してしっかり止まることを確認しました。そのうえで、水道メーターのチェックも行い、無事パイロットの回転も止まり、漏水が解消されたことを確認できました。
※動画は途中5倍速で再生しています。交換前は水が止まりませんが、交換後はボールタップが作動してすぐに水が止まっているのが分かります。
入居者様としては、「水漏れした分の水道料金はどうなるのか」が心配なところです。最後に、漏水証明書の段取りや手続きの説明をして終了となります。
市町村の水道局は、道路の下に埋設されている配水管からその先、各家庭(戸建てや集合住宅)に引き込まれた給水管や家庭内の水道説明は個人の財産となるため、その管理で行うものとしています。そのため、水漏れがあったとしても、原則、水道使用者が漏水分を含めて支払わなければならいとなっています。
しかし、水道使用者に非がない漏水トラブルの救済策として減免制度があります。これは、一定の基準を満たす場合に限って、漏水分を含む検針時の水量から一部を減量し、水道料金等の減額を受けられるという制度です。
制度の詳細を知りたい方は、こちらをクリックして横浜市のホームページをご確認ください。また、漏水証明書を提出する方は、同じく横浜市のホームページから「漏水に伴う使用水量認定申請書」をダウンロードして必要事項を記入してください。
なお、水道局で基準を満たしているか判断してから減額となるため、使用者が漏水分を含めた水道料金を先に支払うことになるので、注意が必要です。また、漏水の発見から工事まで早急に対応できればできるほど、漏水する水量が減るため負担する水道料金も軽減できます。
今回は、横浜市水道局からの「水漏れしている可能性があります」という手紙がきっかけでご依頼をいただきました。実際、突然このような連絡が来ると、かなり焦ると思います。多くの場合は、自分では漏水している認識がないので、余計に焦ると思います。
この事例ではトイレの水漏れでしたが、水漏れはいろいろな箇所で起こる可能性があります。床下や天井など、ご自身で見つけるのは難しい、目に見えない箇所で起こることもあります。
水漏れの修理はネットで依頼した格安業者から高額請求されてトラブルになることが、たびたびニュースで取りざたされています。賃貸の場合は不動産管理会社様に連絡したり、直接業者に依頼する場合は当社も指定を受けていますが、水道局指定給水装置工事事業者に依頼すると安心です。
お住いの市町村の水道局のホームぺージに指定業者一覧が掲載されています。横浜市の一覧はこちらです。
水周りの修理・リフォーム、お困りごとがありましたら、是非一度お問い合わせください。
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